【貸ボート屋の天使】ライカ北紀行 —函館— 第41回
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5月の連休、桜が満開となった五稜郭公園で、表門・二の橋のたもとにあるボート小屋の戸口におもわず吸いよせられた。白い大きな翼が二つ描かれている。カップルや子供たちがつぎつきと、その翼の間でポーズをしたり、
この翼のアートの描き手が、貸ボート屋の主人、野田ゆみこさん。ロスアンゼルスで出会った参加型アートに刺激をうけて、絵が好きなゆみこさんが白いペンキで一思いに描きあげた。
ゆみこさんは、この店の4代目。曽祖父が大正のころ貸ボートを始め、幾星霜、戦争など時代の荒波をのりこえてきた。あと2年で100周年をむかえる。修学旅行生もカップルもおじいちゃんも無心にオールを漕ぐ。僕も手にまめをつくった昔を思いだす。
氷が張れば貸ボート屋は自然休業。ゆみこさんは、貸ボートの客であったフィンランド人のパートナーのもとで過ごす。五稜郭とフィンランド暮らし、半々。この幸せな出会いは、大きな翼を広げた天使の導きによるのだろう。
●道案内
野田貸ボード店 市電「五稜郭公園前」下車、徒歩10分(地図へ)