【桜餅】千秋庵総本家 ライカ北紀行 —函館— 第15回
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函館山のふもとの和菓子屋は、老舗なのに「どらやき2個ください」といえる気安さがある。江戸末期、万延元年、1860年創業の千秋庵総本家。外国への開港で箱館が沸くころ、秋田藩士であった初代が店を開き、古里をしのんで“千秋”庵と名づけたという。
大正の末に売り出した「どらやき」。いまも皮は一枚一枚手焼き。極上の小豆といわれる、道南産・手選りのアカネ大納言から生まれる餡は、甘くて甘く感じない。そんな深みある餡を味わえば、ワインの搾りカスを蒸溜したブルゴーニュの焼酎・マールをきゅっとやりたくなる。また、牛乳とバターが乳くさいと敬遠されていた昭和の初め、それらを使って焼いたお煎餅「元祖 山親爺」。函館らしい和菓子の洋風先駆けといえる。
江戸端唄「梅は咲いたか、桜はまだかいな」。ここの「桜餅」の餡と塩味の桜の葉、その塩梅を味わえばもう春はちかい。
●道案内
市電「宝来町」下車、徒歩1分(地図へ)