【静かなる生活】 ライカ北紀行 —函館— 第1回
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フランスからやってきた9人の修道士が石ころだらけの原野に分け入った。120年ほどまえのことだ。ブルゴーニュの葦が生い茂る荒れ地を発祥の地とする戒律にきびしいシトー会、トラピスト修道院が函館近郊の当別に産声をあげた。
大聖堂に吊りさげられた聖母子像。若き彫刻家・舟越 桂がはじめてとりくんだ木彫だ。クスノキをつかい斬新な作風への転機となった記念すべき作品である。カトリックの彼にとり修道院は重たい存在で、その注文は、祭壇の真上にたつ幼子イエスをいだく聖母マリア。1年間、手がつけられなかった。だが、マリアさまも自分と同じく‶不安″を抱えていると思い至ってノミを持つことができた、と舟越は語っている。
朝3時半に起床、夜8時に床につく。沈黙のうちに祈り、働き、聖なる読書と静かなる生活を送っている。
トラピスト修道院
●道案内
道南いさりび鉄道「渡島当別」下車 徒歩20分(地図)