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消費税増税で金密輸事件が急増:17年度の脱税額1.7倍に

社会

消費税が8%に引き上げられてから、日本への金の密輸が増えているという。19年10月に税率が10%になれば、さらに増える?

金の密輸事件が急増している。輸入品に対する関税や内国消費税に係る犯則事件の調査(犯則調査)で、2017年7月から18年6月までの1年間の金密輸事件(処分件数)が前年比1.5倍の720件、脱税額が同1.7倍の15億389万円となり、過去最高額を更新した。

金の密輸は、消費税率が5%から8%に引き上げられた14年以降、急増している。日本では金は課税対象となっており、正規ルートで金を輸入した場合、税関で消費税分を支払う必要がある。香港など消費税が課税されない国で金地金を購入し、税関を通さずに日本国内に持ち込み、買い取り業者に消費税込みの値段で売りさばけば、消費税分はまるまるもうけになる。

処分した事件のうち、96%(691件)が航空機旅客による密輸で、大半は韓国、香港・マカオを含む中国、台湾からのものだった。密輸の手口としては、サポーターを使って身体に巻き付ける単純なものから、カップ型に加工した金を内蔵したブラジャーを着用したり、携帯電話などのバッテリー内に加工して持ち込もうとするなど巧妙な手口もあった。

カップ型に加工した金をブラジャーの中に入れ、着用して密輸を試みた事例(財務省提供/時事)

19年10月に消費税率が10%に引き上げられれば、密輸業者にとっては旨みが増すため、財務省は空港の金属探知機を増やすなど水際対策を強化。18年4月には関税法を改正し、密輸に対する罰則を厳しくした。

バナー写真 : 3つに切り分けられて密輸された金地金(時事)

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