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消費税「導入」と「増税」の歴史

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2019年10月1日、消費税率が8%から10%に引き上げられた。急激な少子高齢化が進む中で、膨らみ続ける社会保障財源を確保することが狙いだが、国民負担の増加で景気が失速するリスクと背中合わせで、政権にとっては難しいかじ取りを求められる。消費税をめぐる曲折の歴史を振り返る。

2019年10月1日、消費税が8%から10%に引き上げられた。安倍政権はこれまで2度にわたって増税時期を延期してきたが、世界の先頭を行く高齢化の進展で、医療や介護などの社会保障コストが膨らみ続けていることや、教育無償化の充実に向けて財源の確保がいよいよ待ったなしとなり、増税に踏み切った。

1989年の消費税導入以来、初めて「軽減税率」を設け、食品(外食、酒類除く)と週2回以上発行される新聞の定期購読については8%の税率を維持する。また、中小規模の小売店などでクレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済をすると、支払い額の最大5%がポイントとして戻ってくる「ポイント還元制度」を2020年6月末までの9カ月間限定で実施する。

消費税の「導入」と「増税」の歴史

首相 年月
大平正芳 1979年1月 財政再建のため「一般消費税」導入を閣議決定。同年10月、総選挙中に導入断念を表明したが、大幅に議席を減らす。
中曽根康弘 1987年2月 「売上税」法案を国会に提出。国民的な反対に遭い、同年5月に廃案となる。
竹下 登 1988年12月 消費税法成立。
1989年4月 消費税法を施行。税率は3%。その直後、リクルート事件などの影響もあり、竹下首相は退陣表明、同年6月に辞任。
細川護煕 1994年2月 消費税を廃止し、税率7%の国民福祉税の構想を発表。しかし、連立政権内の足並みの乱れなどから、発表翌日に撤回。
村山富市 1994年11月 消費税率を3%から4%に引き上げ、さらに地方消費税1%を加える税制改革関連法が成立。
橋本龍太郎 1997年4月 消費税率を5%に引き上げ。
鳩山由紀夫 2009年9月 「消費税率は4年間上げない」とするマニフェストで民主党が総選挙で勝利、政権交代を実現。
菅直人 2010年6月 参院選直前に「消費税10%」を打ち出し、選挙に惨敗。
野田佳彦 2012年6月 消費税率を2014年に8%、15年に10%に引き上げる法案を提出。8月10日、参院本会議で可決成立。
安倍晋三 2014年4月 消費税率を8%に引き上げ。
2014年11月 2015年10月の税率10%への引き上げを2017年4月に1年半延期。
2016年6月 2017年4月の税率引き上げを2019年10月に2年半延期。
2018年10月 2019年10月に税率10%に引き上げる方針を表明。
2019年10月 消費税率を10%に引き上げ。軽減税率を導入し、食品(外食・酒類を除く)と宅配の新聞の定期購読料は現行の8%の税率を維持する。

(オリジナルの記事は2012年7月17日公開。2016年6月1日、18年10月16日、19年10月1日再更新した)

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