ゲームは仮想現実(VR)の時代に—東京ゲームショウ2016
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「プレイステーションVR」体験は4時間待ち
2016年9月15~18日、「東京ゲームショウ2016」が千葉市の幕張メッセで開催された。出展社は619、入場者は27万人超と、共に過去最多になった。
今年注目を集めたのは仮想現実(バーチャルリアリティー=VR)。目玉は10月13日に発売されるソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)のVR機器「プレイステーション(PS)VR」だ。同社のゲーム機「PS4」本体に接続したヘッドマウントディスプレー(HMD)で、3次元(3D)のVR空間を楽しめる。同時発売のVRゲーム・映像ソフトウエアは20本を超えていて、ソニーの本気度がうかがえる。また、今冬から来春にかけて発売されるPS4の人気タイトルのほとんどがVR対応になる。
このPSVR、新感覚のハードウエアだけあって、体験してから購入を検討したいところだが、ソニーストアでの体験会は同ストア専用IDによる予約が必要と、少々敷居が高い。ゲームショウでの体験ブースも大人気で、4時間以上待つ必要があった。
VR対応の人気ソフトが続々と登場
注目のソフトの1つは、VR対応となったSIEのドライブシミュレーション・ゲーム「グランツーリスモ・スポーツ」。新コース「東京エキスプレスウェイ」は首都高速道路の都心環状線(C1)ルートを模したもので、PS4の描画能力向上で、よりリアリティーある東京の姿をコンピューターグラフィックス(CG)で実現させている。残念ながら、当初2016年11月発売の予定が17年に延期となってしまったが、さらにプレーアビリティーの向上した「グランツーリスモ」に期待したい(PSVRは360度視界。ということは、車に乗ったまま「振り返る」ことが可能になる!)。
SIE以外のメーカーによる注目タイトルは、なんといってもカプコンの「バイオハザード7 レジデントイービル」(17年1月26日発売)だ。シリーズの原点に戻ったという「恐怖」の演出に期待。ホラーゲームはヘッドホンを装着したプレーでさえ、恐怖感倍増だというのに、PSVR対応ということで、その没入感と恐怖感はどれほどのモノになるのだろうか。体験ブースでは恐怖のあまり立ちすくむ人が続出!
スクウェア・エニックスの大人気ロールプレーイングゲーム(RPG)の最新作「ファイナルファンタジー(FF)XV」(16年11月29日発売)もPSVR対応。風に揺れる髪の演出と新方式の戦闘シーンを見ていると、「いったいぜんたい自分は本当に『FF』をやっているのか」と、シリーズ1作目からプレーしている筆者などは隔世の感に駆られてしまったのであった…。
PSVR対応ソフトではないが、来場者の注目を集めていたのは人気シューティングゲーム「キルゾーン」を作った、オランダに本拠を構えるゲリラゲームズが開発したアクションRPG「Horizon Zero Dawn」(17年3月2日発売)。舞台は、動物の姿をした機械に支配されている1000年後の未来。機械動物をハンティングすることによって、その世界の謎を解いていく。日本勢が得意とするストーリー性のあるRPGに欧州の開発者が挑んだ意欲作だ。
PS4でほぼ実写並みの画像描写を手に入れたゲームの世界。それが3DのVRに進化するのは必然なのだろう。ただ、これまでオーディオ・ビジュアル業界でも、テレビなどのさまざまな3D視覚デバイスが発売されたが、必ずしも成功したとは言えない。果たして、「東京ゲームショウ2016」で大人気だったPSVRは新しい未来を切り開けるのだろうか。
取材・文=吉村 慎一会場写真撮影=長坂 芳樹